総村スコアブック

総村悠司(Sohmura Hisashi)の楽曲紹介、小説掲載をしています。また、作曲家・佐藤英敏さんの曲紹介も行っております。ご意見ご感想などはsohmura@gmail.comまで。

好きな事しているのに、君はなぜ苦しんでるの? ~遊びとの向き合い方~

おつかれさまです、総村悠司です。
今日は『好きな事しているのに、君はなぜ苦しんでるの? ~遊びとの向き合い方~』についてです。

 

[Index]

 

 0. はじめに
 1. ゲームをする人達の物語
  1-1. A君の例(不調の連続)
  1-2. Bさんの例(不運の連続)
 2. どうしたらゲームを"楽しめる"のだろう?
  2-1. A君の例(不調の連続)
  2-2. Bさんの例(不運の連続)
 3. 系統の違うゲームを楽しむ
 4. まとめ
 5. さいごに
 A. ゲームの分類

 

[Details]

 

0. はじめに

 

 室内にいる時間が増えざるを得ない情勢がまだまだ続いており、新しいゲームや遊びをする機会が増えた方もずいぶん多いかと思います。
 そんな中で、「ストレス発散のはずが、ストレスが増えてしまった」とお悩みの方に、総村なりに考えている遊びとの向き合い方についてを紹介できればと思った次第です。

 記事タイトルはどこかで見かけたような歌詞で、本来のものとはややポイントは異なるのですが、遊び心があってよいのでは?と思い使ってみました。

 

1. ゲームをする人達の物語

 

 まずは、架空の2人の物語を通して、ゲームで直面しうる複雑な状況をみてみましょう。

 

1-1. A君の例(不調の連続)

 

 A君は新しい趣味を増やそうと思い、子供のころによく読んでいた漫画を思い起こして、囲碁を始めてみることにしました。
 覚え始めは伸びしろも大きく、得た知識や経験に比例して勝率が良くなっていくことが快感で、すっかり趣味に定着しました。
 今では、時間のある時にはスマートフォンのアプリでプレイをしたりしています。
 ある日、いつもと同じようにプレイをしていたところ、玄関のチャイムの音が聞こえてきました。
 「なんだよ、こんな時に……」
 宅配物は自分が注文した書籍だったので自業自得です。比較的スムースに受け取る事はできたものの、短めの対局時間の試合だったこともあり、時間に追われてミスを連発、手痛い敗戦となってしまいました。
 (なんだか、すっきりしないなぁ……)
 自分自身でも冷静さを欠いていることを自覚できていながらも、「勝って終えたい」という欲求に後押しされ、もうひと勝負することにしました。
 しかし、相手のレーティングが自分よりも高い相手とマッチング。良い所なく敗戦。当然収まらず、もうひと勝負――。

 結局、3連敗後にやっと1勝できたものの、敗戦の内容が悪すぎたこともありなんだかスッキリしない状態です。
 (俺って、囲碁向いてないのかなあ

 

1-2. Bさんの例(不運の連続)

 

 Bさんは配信動画でたまたま知るきっかけになったバックギャモンにはまり、最近よく楽しんでいます。
 サイコロの出目次第では思わぬ逆転をするのが賭け事好きなBさんには魅力的なゲームだったのでしょう。
 今はアプリ上でプレイをしているけれど、そのうち盤のセットも買ってみようかな、などと思っているのでした。
 ある日の夜、いつもと同じようにプレイをしていたところ、まず99%勝てそうという場面からまさかの逆転負け。
 それから、「とりあえず1勝するまで」と連戦するものの、悪魔に魅入られたかのようにここぞというところで相手に絶好の出目が飛び出し、連敗。
 とうとう睡魔にも勝てず、最終局は寝落ちで時間切れ負けとなる悲惨な顛末に……。
 翌日、Bさんが恐る恐る記録画面を開いてみると、これまでコツコツと積み上げてきた勝率やレーティングが愕然とするほど下がっている惨状が待っていました。

 

2. どうしたらゲームを"楽しめる"のだろう?

 

 本来、楽しむことが目的のはずのゲームにおいて、なぜA君やBさんは「好きな事しているのに、君はなぜ苦しんでるの?」状態になってしまったのでしょう。

 そもそも「負け」という事実に直面して心から喜べる人はいないでしょう。いたとしたら、むしろ異端です。
 普通の人間であれば、大なり小なりの悲観・怒り・焦り・冷静さの欠如を導出しますから、能力の初期値100とすると95とか90などに下がってしまっている訳です。ゲームでいうステータス異常のような状態ですね。
 従って、敗戦後のゲームを行うこと自体が、そもそも分が悪い・ハンディキャップを負っていると覚悟をしておくべきところと言えそうですね。

 次に、それぞれのゲームを後述の「A. ゲームの分類」を交えつつ考察していきたいと思います。

 

2-1. A君の例(不調の連続)

 

 A君が楽しんでいる囲碁は「実力系」と言えます。
 天運の要素はほぼないため、勝った時の自己肯定感は強いものの、負け=自分のミスという厳しい現実を突きつけられる一面も持ち合わせています。
 それゆえに、「何故か勝てなくなったとき」のリカバリが難しいのですね。
 仕事や勉強もそうですが、自分のウィークポイントに気づくことは実はとても大事で、当然ながら気づかないと是正もできません。
 「よりよくなるために、ここは改良ポイントだと分かったな」と、敗戦にも価値を感じられる心構えを常念できれば、勝っても負けても利益しか残りません。
 各分野のトッププレイヤーを見ていると、この「振り返りや反省をとても熱心に行っている」という事例に枚挙のいとまがありません。

 

2-2. Bさんの例(不運の連続)

 

 Bさんが楽しんでいたバックギャモンは「天運系」と言えます。
 ランダム要素が強い分、約束された勝利はないことが大前提です。
 別の側面で表現するなれば、「トッププレイヤーにも勝てる可能性がある」一方で、「初心者にも負ける可能性がある」点が、実力系よりも大きいわけですね。
 そのため、「負けてもしょうがない」という精神のボーダーラインは実力系よりも低めに考えるべきかなと考えます。
 また、「勝って終わりにしよう」「勝つまでやろう」は禁物です。早めに切り上げる方が得策です。
 確率的には10000連敗する可能性だってありうるという考え方もそうですが、「負けをとっとと捨てる」捉え方がしやすいからです。
 例えば、ある日3戦全敗(3連敗)した次の日に1勝できても合算すると「勝率25%か……」という印象になってしまいますが、日ごとに捉えれば「今日は1戦1勝(勝率100%)だ!」と思え、次に負けても「勝率50%だったな」と思えます。
 仮に、「勝率50%がまずまずと思えるライン」の人の場合は、前者ではその日に最短で3連勝が必要になってしまいます。

 

3. 系統の違うゲームを楽しむ

 

 さて、「2-1」「2-2」ともに精神論的なものであったので、「そんな風に考えられれば苦労はしない」という声が聞こえてくるのは至極もっともです。
 そこで、もう少し実践的な方策も考えてみましょう。

 

3-1. 実力系ゲーム→?

 

 実力系ゲームで打ちひしがれた場合は「実力不足」と自責している状況なので、実力要素の比較的少ない天運系ゲームに退避するのが有力と思います。(無理して、落ち着かない状態ですぐに敗戦振り返りをするより、復帰後に見返した方が効果的と僕は考えています)
 その実力系ゲームが本当に好きなものであれば、時間の経過とともにネガティブな意識が薄れれば再び戻っていけますので、そのための駆け込み寺の位置づけです。
 不思議なもので、そのうちに天運で勝敗がついてしまう結果に納得感を得られず、自分の実力が100%出せる実力系に戻る意欲が湧いてくることがしばしばあります。

 また、蓄積系ゲームも有力です。蓄積系は掛けた時間の分に見合った結果が得られるわけですから、もともと実力系を好める努力を持っている人とも親和性が高いと考えます。
 成功・達成を積み重ねることで、勝利への意欲や勝気が戻れば、復帰の近道となるでしょう。

 

3-2. 天運系ゲーム→?

 

 天運系ゲームで打ちひしがれた場合は「自分の制御不能な領域で苦しんでいる」状況なので、自分で制御の効きやすい実力系ゲームに退避するのも有力と思います。
 ただ、実力系は格上に金星をあげることは稀なので、一発逆転的な爽快感を得たいと思う頃には、元の天運系ゲームに戻っていくことができるでしょう。

 また、蓄積系ゲームも有力です。蓄積系に不条理はありませんから、掛けた分の時間に見合う報酬を受け続ける体験を受け続けられます。「1 + 1」が「2」であってくれることに救われるのですね。
 しかし、もともとハイリスクハイリターンな天運系ゲームにはまっていた人であれば、そのうち「1 + 1が2にしからならないなんて面白くないな」と思ってくるはずです。それが復帰可能となった合図となるでしょう。

 

4. まとめ

 

 ここまでで、系統の違うゲームを嗜むことは、自分の好きなゲームを守り・継続することでも有益そうに思えてきました。
 人間は同じことを続けるとどんなことでも慣れ・飽きを感じます。
 「3-1」「3-2」はあまり良い表現ではないですが、
 元のゲームで沼に陥りそうなとき、別のゲームに逃避して繰り返すことで、時薬と別のゲームに対する"飽き"で相対的に元のゲームに対するしこりが解消され、戻っていける
 というからくりだったわけですね。
 また、ゲームの醍醐味はそれぞれ異なりますから、様々なゲームに触れることで純粋に楽しみの機会は増え、ときには応用が利く気づきが得られるかもしれません。

 さて、テーマであるゲームからは乖離してしまいますが、蓄積系の特徴である「掛けた時間の分に見合った結果が得られやすい」特徴は、芸術分野に適合しています。
 (一例:絵を描く・読書をする・美術品の鑑賞をする・動画(映画)を視聴する)
 即ち、蓄積系ゲームの役割として、取り入れることも好手と言えそうですね。ツイッターのプロフィールにも書いていますが、ゼロサムでないもの(皆にとってプラスとなるもの)、音楽はその一助となれると思っています。

 

5. さいごに

 

 大昔の人々の間でもゲームがされていたことからも、遊びは人の営みに刺激や潤いを与える間接的栄養素なのだと思われます。
 薬は毒にもなります。
 うまく付き合い、付き合い続けることで、それ無しの人生よりずっと楽しく過ごすことができると考えます。
 本記事が、何かの考えるトリガーとなるようでしたら幸甚です。

 

A. ゲームの分類

 

 ゲームといっても、それこそ多種多様なものがありますが、ここでは3つに分類にしてみることにします。
 なお、どのゲームもいずれかの系統だけ、ということはまず無いので、最も濃い色合いのものに分類されるイメージです。

 

 (1) 実力系

  いかに正しい判断・正しい手順ができるかが勝敗のカギを握る系統のゲームをここに分類します。
  ボードゲームの一例としては、囲碁将棋オセロチェス五目並べといったものが挙げられるかと思います。
  テレビゲームの一例としては、アクションシューティングが挙げられるかと思います。

 

 (2) 天運系

  ランダム要素が勝敗の大半を握る系統のゲームをここに分類します。
  ボードゲームの一例としては、麻雀カード系・トランプ系(ババ抜き、ポーカー等)・サイコロ系(モノポリーバックギャモン等)・ルーレット系(人生ゲーム等)
  テレビゲームの一例としては、シミュレーションが挙げられるかと思います。

 

 (3) 蓄積系

  掛けた時間の分に見合った結果が得られやすい系統のゲームをここに分類します。
  対戦形式は少なく、時間制限もほぼない一人遊びが多い印象です。
  ボードゲームの一例としては、ナンバークロス詰め碁詰め将棋ジグソーパズルルービックキューブが挙げられるかと思います。
  テレビゲームの一例としては、ロールプレイングゲームサウンドノベルが挙げられるかと思います。

  なお、実力系ゲームから時間制限を取り除くとこちらに分類できそうなケースもあります。

 

以上、今後ともよろしくお願いします。